ぼくが尊敬する友人たちには、みんな忘れられない女がいるように思う。
その忘れられない女がどんな人かは共通点が無く、バラバラだ。
つきあった時間は長かったり短かったり、客観的に見て素敵な人だったり、手間のかかるめんどくさい人だったり。
でも共通しているのは、別れた後もその相手のことが嫌いになれないということ。
きっと忘れられないのは、何かやり残したこと、伝えられなかったこと、悔やんでいることがあるからだろう。だから、気になってしまう。
そして、そういう相手のことは、何かあったときに、ふいに思い出す。
失恋の痛みは消え、思い出に変わっていく。
それでも、思い出すことは少なくなっても、結局ずっと忘れられはしないんだろうなと思う。
過去に後悔があるからこそ、それを振り切るために今を充実させなければという気持ちになる。
後悔が人を強くする。それはまるで呪いみたいだけど、悪いことばかりじゃないのかもしれない。
ぼくの場合も、どんどん過去は遠くなっていって、思い出すことも減っていっている。
やがて、ほとんど思い出すこともなくなるだろう。
だけど、記憶は完全には消えない。ずっと、こころのどっかにはあの日の後悔みたいなものが、捨てられない卒業アルバムみたいに残っていて、ときたま人を感傷的にさせて、こうして恥ずかしいポエムを書かせたりする。
油断していると、ふとした時に思い出が牙を向いて息が詰まる。
立ち止まっていると、そうした過去が追いついてきて、発破をかけてくる。
「その程度で終わりなら、あんたと別れて正解だったね。わたしは今、あんたよりも幸せだよ。」
と、過去の亡霊の声が聞こえてくる。
そう言われると黙っていられない。なんとかしなくてはと行動に駆り立てる衝動が襲ってくる。
まったく、尻を叩かれる思いだよ。
いい気分じゃあないけれど、後悔もただただ悪いってものじゃないのかもしれない。
過去の自分の過ちを繰り返さないため、手痛い教訓は、ぼくを走らせる。
誰も言わないけれど、きっとみんなそんなもんなんだろう。
いい男はみんな葛藤しながら進み続けているんだろう。
ぼくもいい男を目指して進み続けよう。
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